『その武器、芝居で活かせていますか?』
前回までのコラムでは、自分のパブリックイメージや、
自分の武器が今も同じ効果を発揮しているかについてお話ししました。
では、その武器を芝居の中でどう活かせばいいのでしょうか。
武器は、ただ持っているだけでは作品の中で機能するとは限りません。
大切なのは、その武器が役の目的や相手との関係の中で、
何のために使われているのかを考えることです。
たとえば「繊細さ」が武器だとします。
繊細な人は、相手の表情や声の変化に気づきやすいかもしれません。
場の空気の違和感にも敏感かもしれません。
それは役者にとって、とても大切な力です。
ただ、芝居の中で「感じている」だけで終わってしまうと、
その繊細さは武器としてはいまいちです。
相手の言葉に傷ついた。
相手の表情に違和感を覚えた。
空気が変わったことに気づいた。
そこまでは大切です。
でも、そのあとに
「何をしたくなったのか」があった方が、
武器としてより効果的です。
感情に浸った結果として黙っているだけだと、見ている側は
「感じているのはわかるけど、で、どうしたいの?」
となることがあります。
黙ること自体が悪いわけではありません。
誰かを守るために黙る。
本心を隠すために黙る。
関係を壊さないために黙る。
それらは行動です。
繊細さは「傷つきやすいこと」だけではなく、
相手の変化に気づく入口に使い、そこから
気づいたから、相手を守ろうとする。
気づいたから、本心を隠そうとする。
気づいたから、相手の嘘を確かめようとする。
近づく、離れる。
繊細な人が他者と関わるのはエネルギーが必要でしょう。
魅力的な時間が生まれるかもしれません。
これは明るさや元気さ、優しさにも言えることです。
明るい人ではなく、場が明るくなる。
優しい人ではなく、相手が救われる。
武器は「私はこういう人です」で終わるものではありません。
その武器が、作品の中で何のために使われているのか。
そこまで考えられた時、初めて芝居の中で活きてくるのだと思います。
あなたの武器は、芝居の中でどの様に使われていますか?